近年、新卒採用でもスカウト採用を導入する企業が増加しています。
しかし、スカウト採用におけるファーストコンタクトであるスカウトメールで思うような効果が得られず、どうすれば良いのか悩んでいる採用担当者は少なくありません。
本記事では、新卒向けスカウトメールの成功のコツと例文を紹介します。
開封率・返信率を向上させて、自社の採用力を上げましょう。
新卒向けのスカウトメールとは？
新卒向けのスカウトメールについて解説します。
スカウトメールの役割と重要性
スカウト採用を行う際に企業から候補者へと送信するメールを、スカウトメールといいます。
新卒では、「オファー型採用」と表すこともあります。
スカウトメールは企業から候補者へのファーストコンタクトであり、最初の関わりです。このスカウトメールから候補者の潜在的な欲求を探索・刺激し、自社への採用を進めていきます。
テンプレートで誰にでも当てはまるような、魅力のないスカウトメールでは、候補者がスカウトメールに返信する確率が下がります。いかにスカウトメールで自社に興味を持ってもらえるかが、新卒採用においてスカウトを成功させるカギといえるでしょう。
一般応募とスカウト採用の違い
従来の一般応募は、企業がWEBや大学に求人広告を出したり、就活フェアや企業説明会を通して興味を持った学生自身がエントリーをする「応募型」の形式です。
応募型は、予定採用人数よりも多く人材が集まるケースもあり、時間をかけて多くの学生を精査する必要があります。何度も面接や検査を繰り返し見定めると、応募数は集まったが、質は良くなかったという場合もあるでしょう。
一方でスカウト採用は、人材データベースに登録された学生に、企業からアプローチをかける手法です。
予定人数よりも多く採用するケースは少なく、あらかじめ情報を知ったうえでアプローチをかけるため、ターゲットに絞った選考ができます。大人数の採用には向いていませんが、数人の優秀な人材を確保したい企業に向いています。
新卒向けスカウトメールが必要な理由
新卒向けスカウトメールが必要な理由を紹介します。
優秀な人材を逃さないため
新卒学生は自分から動かないことが多い
採用ブランディング強化につながる
優秀な人材を逃さないため
新卒向けスカウトメールを配信し採用活動を行うことで、優秀な人材に自社を認知してもらい、採用までたどり着ける可能性が高まります。
従来の一般応募では、優秀な人材に出会うは難しいです。
スカウト採用であれば、優秀な人材をデータベースから見つけ出し、自社のアプローチができます。
新卒学生は自分から動かないことが多い
近年、スカウト型採用が普及していることもあり、「スカウト媒体を中心に就職活動を進める」「応募は本当に気になった企業のみ」など自分から動かない学生が増加傾向にあります。
企業からアピールしなければ、腰を上げない学生が増えたのです。
採用ブランディング強化につながる
新卒学生がつい返信したくなるスカウトメールを配信できれば、採用ブランディングの強化ができ、他社との差別化も期待できます。
認知度が低くても魅力的なスカウトメールを配信することで、その認知度のハンディキャップを埋められるでしょう。採用に繋がらなくても、候補者の心に残るメッセージを伝えられれば、採用ブランディング強化は成功といえます。
新卒採用のスカウトを成功させるためのポイント
新卒採用のスカウトを成功させるためのポイントを紹介します。
求めている人材を明確にしておく
アプローチをする人が求めている自社の強みを把握する
スカウトした理由を明確に伝える
入社した際にどのような活躍ができるのか、研修体制はあるのか伝える
選ばれた人材であることを伝えるために一次選考免除などの特別待遇を与える
求めている人材を明確にしておく
新卒採用のスカウトを成功させるためには、自社が求める人材像と採用要件を明確にしておくことが重要です。
採用の軸となる部分であるため、人事部だけではなく、現場の声も取り入れながら考えると、現場との認識の違いを埋められます。また、実際に配属されたあとのミスマッチも最小限に抑えられます。
求める新卒学生のペルソナを設定し、共通認識をつくることがおすすめ。上手くペルソナを設定できない場合は、既存社員の中で、「この人にきてほしい」と思える人を設定しましょう。
具体的なペルソナを設計した後に、採用要件を決めていきます。
人材像・ペルソナ設定の例
- 学生時代に取り組んだアルバイト
- 学生時代のサークル・部活動
- 趣味・特技
- 学歴・専攻
- 資格・スキル
- 留学経験など
- 価値観
- 性格
- 長所・短所
- 学生時代に最も力を入れた取り組み
- 企業選びで重視すること
- 志望する業界/業種
アプローチをする人が求めている自社の強みを把握する
候補者自身が自社に求めていることを把握し、そのポイントをスカウトメールに盛り込みます。
先ほどのペルソナ設定を踏まえて、ターゲットが求めているであろう自社の強みを考えます。学生のプロフィールを読み、希望を汲み取ってスカウト文面を個別に変更すると高い効果が期待できるでしょう。
強みの例
- 自分主体で動き、働ける場面が多い
- スキルアップの体制が整っている
- 環境条件が良い
- 従業員の雰囲気など組織風土が良い
- 有休取得率が高い・フレックス制など福利厚生が充実している
- 資格取得制度が用意されている
スカウトした理由を明確に伝える
スカウトした理由を明確に伝えることで、新卒学生が最後までメールを読むアクションに繋がります。
新卒学生のモチベーションが上がる内容を伝えられれば、より好印象を持ってもらえるはずです。
スカウトした理由を伝える際のポイント
- プロフィール閲覧したことが伝わる文章にする
- WEB履歴書などを読み自己PRに共感する
- 経歴を見たうえでESや一次選考を免除することも視野に入れる
入社した際にどのような活躍ができるのか、研修体制はあるのか伝える
入社後の活躍やキャリアについて、研修制度の充実度について伝えましょう。
新卒学生は正社員として働くことが初めてであり、ビジネスマナーについて全く知らない状態で企業に応募します。それらの不安を払拭することで、応募へのハードルを下げられます。
選ばれた人材であることを伝えるために一次選考免除などの特別待遇を与える
優秀な人材に一次選考免除やES免除などの特別待遇を与えることで、自社がどれほど候補者を採用したいのかを伝えられます。
他の企業には絶対に流れてほしくない優秀な新卒学生を見つけたら、可能な限り選考免除の特権を与えましょう。
「自分は選ばれた人材である」と認識してもらえることで、自社に対する興味をより強く持ってもらえます。
スカウト文面に「本スカウトを受け取った方限定で、早期選考へご案内いたします」と書くと返信率が向上しやすくなります。
新卒向けスカウトメールを作成する際のポイント
新卒向けスカウトメールを作成する際のポイントを紹介します。
採用担当の名前は冒頭で明記する
スカウトを送った理由を伝える
自社のアピールポイントを明確にする
どのような仕事を任せたいと考えているのか伝える
将来の展望を例であげる
特別な待遇をしてでも欲しい人材だということを改めて伝える
採用担当の名前は冒頭で明記する
会社名や「採用担当」だけではなく、担当者の名前を冒頭で明記することで、新卒学生はよりパーソナルなメールであると感じます。
企業公式HPにプロフィールページがある場合は、より具体的な人物像をイメージしてもらえるようURLを記載することがおすすめです。
【文面の例】
初めまして。
❍❍株式会社 人事部 採用担当の❍❍と申します。
スカウトを送った理由を伝える
新卒学生のプロフィール情報から何を魅力的だと思ったのか、なぜスカウトメールを送ったのかを記載します。
新卒学生は転職希望者のように職務経歴がありません。学生時代に力をいれたこと、研究内容、実績などを評価する必要があるため、プロフィールをよく見ることが重要です。
【文面の例】
プロフィールを拝見して、大学で生物科学を専攻している❍❍様に、専門知識を活かして弊社で働いていただけると感じました。❍❍の研究内容を活かせる職場をご用意できると考えております。
自社のアピールポイントを明確にする
企業のアピールポイントを明確にし、端的に伝えます。企業理念、沿革、業績、事業内容、福利厚生、労働における環境条件、地域や業界の立ち位置などから、いくつかピックアップして新卒学生にアピールしましょう。
すべて記載するとメール文章が長くなるため、長くても1文60文字程度で5文ほどが目安です。
【文面の例】
弊社は❍❍の理念のもと、個別指導塾の事業をメインに展開しています。
地域に根ざした企業を目指し❍❍県で創業して15年。❍❍県中心に××地方で事業拡大を行い、塾の数は5店となりました。
現在は、オンライン塾の事業展開を視野に入れており、そこで❍❍様の力を発揮できると考えております。
どのような仕事を任せたいと考えているのか伝える
新卒学生が入社後の仕事イメージを持ちやすいように、どのような仕事を任せたいと考えているのかをなるべく具体的に記載します。
ただし、新卒学生は即戦力として働くことは難しく、新卒学生自身もその点について不安に思っていると推測できます。実際の業務内容はもちろんですが、入社後の研修制度、1年目の働き方、業務内容のローテーションなどがあればこの時点で記載しましょう。
【文面の例】
入社後の1ヶ月は、新入社員全員で弊社が用意したビジネス研修を受けていただきます。
その後、業務内容についてより深く知ってもらうための研修（営業研修など）を行ったのちに、ご希望・適性に応じて営業、技術営業や、経理、ITなどの各部門に配属します。
将来の展望を例であげる
新卒採用の場合でも、キャリアパスなど将来が想像できる将来の展望を例であげることがおすすめです。
どのようなキャリアを提供できるのかも、併せて記載します。
専門職の場合
「専門性に磨きをかけられること」や「なぜ専門性が高まるのか」の理由を記載する
その他の場合
具体的なキャリアが決まっていない学生には、「総合職として幅広い業務を学べる」「幹部候補として学べる」「入社後のキャリアチェンジも可能」など、幅広いキャリアがあると記載する。
特別な待遇をしてでも欲しい人材だということを改めて伝える
特別な待遇をしてでも欲しい人材であると、最後に改めて伝えることが重要です。
最初と最後に「スカウトした理由」「あなただからこそスカウトした」といった特別感を与える文章を挿入することで、より印象的なスカウトメールになります。
【文面の例】
このオファーをお送りした方限定で、カジュアル面談の場をご用意いたします。
面接とは異なり、お互いに質問したりお話ししたりと相互理解の場です。より具体的な業務内容や、キャリア、福利厚生についてもお話しできるかと思います。ざっくばらんにお話できたらと考えております。
新卒向けスカウトメールの例文
新卒向けスカウトメールの例文を紹介します。
新卒向けスカウトメールの良い例
新卒向けスカウトメールの悪い例
新卒向けスカウトメールの良い例
新卒向けスカウトメールの悪い例
悪いポイント
- 採用担当者の紹介がない
- 新卒学生を「あなた」呼びしているため定型文感がある
- 企業紹介に魅力がないうえにどんな企業か分からない
- 企業の組織形態が分からない、イメージができない
- 入社後の研修制度についての記載がなくイメージができない
- キャリアプランの提案がない
- 新卒学生のプロフィールを読んでいないことが想像できる
スカウトが上手くいかない際のメールの改善案
スカウトが上手くいかない際のメールの改善案を紹介します。
テンプレートのような文章ではないかを確認する
具体的な内容になっているかを精査する
メールへの返信は迅速に行う
送付日時が早すぎたり遅すぎたりしないようにする
受け取り手のメリットを伝える
テンプレートのような文章ではないかを確認する
「新卒向けスカウトメールの悪い例」で紹介したような、定型文らしい文章ではないかを客観的に評価する必要があります。名前だけ変更しても、新卒学生の専攻や自己PRなどに触れていなければ定型文だと感じる学生は少なくありません。
なるべく多くの部分を変更することで、定型文感は薄れていくでしょう。試行錯誤を繰り返し、コスト対効果が最も高い方法を探す必要があります。募集する要件や職種により、やり方は異なります。
具体的な内容になっているかを精査する
具体的な内容を記載できているかを、社内で精査しましょう。
新卒学生が入社後のイメージを持てるか、どのようなキャリアを持てるのか想像できるか、企業に対して正しいイメージを持てるかを考えます。情報を取捨選択し、読みやすさと正確さのバランスを取りましょう。
メールへの返信は迅速に行う
メールへの返信を迅速に行うことで、新卒学生が他企業に流れないように対策が可能です。
特に優秀な新卒学生には、多くのスカウトメールが届きます。メールへの返信が遅いと、その間に新卒学生が他企業と会い、内定をもらう可能性が高いです。
送付日時が早すぎたり遅すぎたりしないようにする
スカウトメールの送付は早いほうが良いですが、早すぎたり遅すぎたりすると効果が低くなります。早すぎると就職意欲が低い時期のため返信が期待できず、遅すぎると競合他社に新卒人材が流れるでしょう。
ただし早く行動することで「他企業から内定をもらった」などの理由での内定辞退を防げるため、時期は慎重に考えることがおすすめです。
受け取り手のメリットを伝える
自社に入社する際のメリットを具体的に伝えることで、採用に繋がる可能性を上げられます。
スキルアップ、ライフワークバランス、労働条件など、新卒学生によりメリットと感じるポイントは異なります。自社が想定する、「求めている人材を明確にしておく」で決めたターゲット像を元に、具体的なメリットを考えていきましょう。
新卒向けスカウトメールに関するよくある質問
新卒向けスカウトメールに関するよくある質問に答えます。
スカウトメールはどのタイミングで送るべきですか？
スカウトメールの件名はどのように工夫すれば良いですか？
スカウトメールに返信がない場合、どのように対処すれば良いですか？
スカウトメールはどのタイミングで送るべきですか？
スカウトメールは新卒学生がスマートフォンを開くであろうタイミングで送ることが重要です。
一般的には、木曜日、金曜日、土曜日の午前中、または17～20時がベストと言われています。
スカウトメールの件名はどのように工夫すれば良いですか？
スカウトメールの件名は、他社と差別化できる内容に工夫しましょう。自社の強みを入れたり、特別感を出したり、候補者の経歴を見たことが分かる件名にすることがおすすめです。
詳しくは「新卒向けスカウトメールの良い例」をご覧ください。
スカウトメールに返信がない場合、どのように対処すれば良いですか？
スカウトメールに返信がない場合は、2回目の連絡であることを承知している旨を記載したうえで、再度スカウトメールを送ります。訴求ポイントの変更をしたうえで、「どうしてもあなたがほしい」といった内容のメールを作成します。
ただし、何度もメールを送ると企業のイメージダウンに繋がる可能性が高いです。2回目で返信がなければ、労働条件が合わないなどの可能性があるため、諦めることも視野に入れましょう。
まとめ
新卒学生向けのスカウト採用で使えるメールの例文を紹介しました。
新卒向けのスカウトメールは、中途採用とはまた異なる訴求が必要になるため、工夫をする必要があります。
本記事の内容を参考に、PDCAサイクルを回して、効果の高い新卒向けスカウトメールを作成しましょう。
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